こんにちは。
SOUTH STOREの神谷です。
今回はこれからリリース予定の別注アイテムについてご紹介したいと思います。
前回のブログでも触れた、SOUTH STORE 4周年を記念して、、、という別注ではありませんが、3月〜4月にかけて4ブランド(Alvana、Corgi、NEAT、PADMORE & BARNES)にご協力いただいて別注アイテムをリリースいたします。
別注アイテムは全て共通点があり、それは、沖縄の伝統染色「琉球藍」で染めていること。藍染にはピュアインディゴ(化学染料)とナチュラルインディゴ(本藍・天然藍)がありますが、琉球藍染はナチュラルインディゴです。
沖縄の琉球藍染を少しでも知っていただくきっかけとなれば嬉しい。そういう想いで企画いたしました。
今回のブログでは「琉球藍染ができるまで」をご紹介していきます。
取材協力と別注の琉球藍染を請け負っていただいたのは、原料となる琉球藍の栽培から染色まで自社で行っている「琉球藍研究所」。
半年かけて作品作りと取材を進めてきましたので是非ご覧ください。
まずは苗を育てるところからスタート。
育った苗を畑へ移します。
琉球藍葉は沖縄の品種でありながら直射日光に弱く、とてもデリケートです。ビニールテントの中で大袈裟にいうと過保護に慎重に管理し育てていきます。
愛情を込めて育てた藍葉。
刈り取り時期は年に2回です。(6月~7月、10月~11月)
何百キロと刈り取った藍葉から染料にできるのはごくわずか。
刈り取った藍葉を水に漬け込み、葉や茎から色素成分が滲み出るのを待ちます。時間が経つにつれて徐々に色素成分が抽出されます。気温や水温によって漬け込み時間を調整します。
藍葉から十分に色素成分を抽出できたら引き上げ葉を取り除きます。藍葉を取り除いた直後はとても綺麗なエメラルドグリーンの液が漂っています。
藍葉から十分に色素成分を抽出できたら消石灰を水で溶いて投入します。投入した後は空気を送り込むようにひたすら撹拌します。
抽出した色素成分と空気が結びつき、徐々に青い液体へと変化していきぶくぶくと青い泡が生まれていきます。
泡が落ち着いたら色素が沈殿するのを待ち、回収します。
色素の塊になった琉球藍、植物の葉から抽出した藍の色素「沈殿藍」です。
植物の葉から抽出した藍の色素「沈殿藍」
実はこの状態では色素の粒子が糸や布に入り込みづらいため染めることはできません。しっかり染色するためには、微生物の力を借りた「藍建て」を行う必要があります。
泥藍(沈殿藍)を水につけ不純物を取り除きながら溶いていきます。日を置いて藍を沈殿させ、余分なアクを取り除きます。
上澄みの状態を確認し、pH値を測定します。pHとは水素イオン濃度の略称で、藍はアルカリに溶けるため、常に一定のpHをキープしなければいけません。また、アルカリ性の液の中で繁殖できる菌は案外少ないため、アルカリを保つことで藍の発酵菌以外の菌の増殖を抑えることができます。pHが下がると他の菌が増殖しやすくなります。他の菌が増殖すると、pHがみるみる下がってしまいます。毎回藍の機嫌を伺いながら沖縄では水飴や泡盛を入れて調子を整えていきます。
沈殿藍が腐敗しない様に毎日朝、夕と2回撹拌を欠かせません。その際pH値も確認し消石灰で数値を調整し整えていきます。
染料の上澄みにたまったブクブクとした泡は、「藍の華」と呼ばれ、染料がうまく発酵しているバロメーターの一つ。藍建てが進んでいるかどうかを判断する目安にします。
藍建てが進んだらいよいよ作品の染めに入っていきます。藍は空気をきちんと抜かないといびつなムラになりやすいため、手染めで一作品ずつ丁寧に染色していきます。
染めて空気に触れさせ色味を確認します。更にきれいな藍色を出すために何度も染め重ねます。毎回染めの濃度や仕上がりをチェックしていると、同じ時間、同じ染料の中に入れていても、湿度や気温、天気が違えば染まり方や色合い、濃度がまったく異なります。同じものをいくつも作ることのできる化学染料とは違い、狙ってもなかなかできない領域があります。藍染はまさに「一期一会の色」なのです。
たくさんの時間、労力のかかる染色方法ですが、琉球藍染めにしかだせない唯一無二の「RYUKYU BLUE」の完成です。
いかがでしたでしょうか。
琉球藍を染色できる状態にするまでには本当にたくさんの時間と労力がかかります。そして、この歴史ある琉球藍染の文化を後世に伝えようとしている「琉球藍研究所」の取り組みは本当に素晴らしいことだと思います。SOUTH STOREもその素晴らしさを別注アイテムを通して少しでもお伝えできればと思っています。
次回のブログでは琉球藍で染めた別注アイテムをご紹介していきますのでお楽しみに。